「キラキラした恋愛映画には興味ない」
「そういう作品は、もうお腹いっぱい」
そんな人にこそ見てほしい、前代未聞の「非」ロマンティック・コメディ!?
映画『ロマンティック・キラー』は、恋愛フラグを全力で回避しようとするヒロインと、強引に恋をさせようとする魔法使いとの戦いを描いた、超ド級のエンターテインメント作品です。
この記事では、上白石萌歌さんをはじめとする豪華キャストによる振り切った演技、「これ見たことある!」というパロディの連続でできている本作の魅力を、ネタバレなしで紹介しています。
この記事が、この映画を見てみたいと思うきっかけになれば嬉しいです!
実写映画『ロマンティック・キラー』|基本情報・スタッフ・キャスト・主題歌
『ロマンティック・キラー』(2025年12月12日公開/日本)
原作:百世渡『ロマンティック・キラー』(集英社「ジャンプコミックス」刊)
監督:英勉
脚本:山岡潤平
音楽:橋本由香利・睦月周平・設楽哲也
ミラクルテーマソング:なにわ男子「Never Romantic」
アオハルテーマソング:INI「True Love」
キュンラブテーマソング:FANTASTICS「ずっとずっと」
キャスト:上白石萌歌、高橋恭平(なにわ男子)、木村柾哉(INI)、中島颯太(FANTASTICS)、高橋ひかる、伊藤俊介、上坂樹里、森香澄、竹財輝之助、津田健次郎(声)、ほか
上映時間:105分
配給:東宝
→映画『ロマンティック・キラー』の公式サイトはこちら
映画『ロマンティック・キラー』あらすじ|恋愛フラグを叩き折れ! 杏子と魔法使いリリの仁義なき戦い
学校から帰るなりゲームに没頭し、チョコを食べ、猫をかわいがるという生活をひたすら繰り返している女子高生・星野杏子(上白石萌歌)。友達は一人だけ、恋人を作ることにも興味なしという限界ゲームオタクの杏子の前に、ある日突然リリと名乗る妖精風の魔法使いが現れる。
リリによると、杏子が恋愛をしないせいで、“人間の恋愛エネルギー”を糧とする魔法界が大変なことになっているとのこと。
それを聞いても特に何も思うことなく、そのままゲームを続行しようとした杏子にイラついたリリは、「絶対に恋をしてもらいます!」と宣言し、杏子の大好きなゲーム・チョコ・猫を取り上げてしまう。
1ヶ月以内に恋愛をすれば大好きなゲーム・チョコ・猫を戻すと聞かされた杏子は、大好きなものを人質(?)に取られていることに激怒する。
「1ヶ月経っても恋をしなかったら私の勝ち、ゲームとチョコと猫を返してもらう!」と啖呵を切った杏子の前に、リリの魔法による“恋愛あるあるシチュエーション”が怒涛の勢いで押し寄せてくるようになり、杏子の生活は一変する。
転校生・香月司(高橋恭平)、幼馴染・速水純太(木村柾哉)、御曹司・小金井聖(中島颯太)と次々に現れる男子たちと、「全員ぶっ倒す!」とメラメラ燃えている杏子の、恋と戦いの行方は……!?
映画『ロマンティック・キラー』感想|ガチの面白さ3選
カオスすぎるパロディ演出の波状攻撃
すごく面白かったです!
「どこかで見たような展開」のオンパレードなんですが、その元ネタ(パロディ元)が、わかる人にはバッチリわかるので、知っている元ネタが出てくるたびに吹き出してしまいました。
- 謎のSAT
- ハングルを話す謎の兵士(パラシュートで不時着した杏子を助けてくれます)
- 謎の刀剣(?)男子
- 謎の「見た目は子供、頭脳は大人」な名探偵
そういう謎男子たちがストーリーとは何の脈絡もなく次々に登場し、杏子に迫ってくるという不条理展開。
「そうはならんやろ」と思うような超展開が続くんですが、魔法による力技で「なってるやろがい」ってなっていて、面白かったです。
定番の「キュン」を全力拒否する杏子のリアクションが最高すぎる
「突然やってきた転校生が、街で偶然に出会った人だった」
「かっこよくなった幼馴染と数年ぶりに再会した」
「俺様系御曹司に“おもしれー女”認定された」
という、少女・少年漫画の王道シチュエーション。
普通なら「キュン」となりそうなものですが、それがあまりにも唐突&仕組まれている感が強いため、杏子は「え、誰?」「え、なに?」と不審がるばかり。
この謎シチュエーションの波状攻撃が魔法使い・リリによる「絶対に恋愛をさせてみせる」という策略だと気づいた瞬間に、「絶対に屈しない!」と戦い始める杏子が最高にかっこいいです。
「よくあるシチュエーション」で無理やりキュンキュンさせようとしてくるリリと男子たちを、「全員ぶっ倒す!」となぎ倒していく杏子のはちゃめちゃな奮闘ぶりは、見ていて本当に楽しいしスカッとします。
実は深い? 「愛とはなにか」を問いかけるテーマ性
そんな楽しい本作ですが、ただの恋愛キャンセル系コメディではないところが、またすごいです。
破天荒な展開の中で、次第に何かしらの感情が育まれていく過程もしっかり描かれていますし、滅亡の危機に瀕している(?)魔法界をそのままにしていていいのか? というのも気になります。
刻々と迫る1ヶ月の期限。
襲来する男子たちを切っては捨て、切っては捨てと撃破していく杏子が、誰かと恋に落ちることなんてあるのか?
そして、愛が足りず窮地に陥っている魔法界はどうなってしまうのか?
この作品には、「世界を救う愛とはなにか?」という、実は結構真面目な問いが隠されている、かもしれません。
「恋愛キャンセル界隈女子のはちゃめちゃさ」と、「世界を救う愛とはなにか?」という、一見両立しそうにないこの2つの要素がカチッと噛み合う瞬間を、ぜひその目で確認してみてほしいです。
映画『ロマンティック・キラー』みどころ|注目ポイント4つを紹介
上白石萌歌×高橋恭平(なにわ男子)×木村柾哉(INI)×中島颯太(FANTASTICS)|個性がぶつかり合うクアトロ主演
ヒロインの杏子役としてキャスティングされた上白石萌歌さんが、適役すぎです。
限界ゲームオタクだけど、頑張っている人を応援したり、困っている人を自然に助けたりする、気立てのいい子。
そんな杏子を、大暴れしながら楽しそうに演じています。
杏子の周囲の男子たちは、杏子のことを好きになるわけですが、この作品を見ているこちらも杏子を好きになるので、彼らの恋心の説得力が増し増しになります。
上白石萌歌さんの振り切りまくっている渾身の演技、必見です。
男子3人もそれぞれ違った良さがあり、見ていて楽しいです。
また、それぞれの所属するグループがこの作品のためにテーマソングを書き下ろしているところも注目です。
「ミラクルテーマソング」「アオハルテーマソング」「キュンラブテーマソング」のトリプルテーマソングの豪華共演は見逃せないですね。
漫画・ドラマ好き必見|クオリティの高いパロディが楽しめる
「このシチュエーション(展開)は○○でしょ」
「これ絶対あれじゃん」
と思って楽しいので、元ネタを知っているとすごく面白いです。
パクリではなく、ちゃんと「パロディ」だとわかる丁寧な作りなのに、見た目は破天荒。
というのが、元作品へのリスペクトを感じて、とてもよかったです。
じゃあ元作品を知らないと楽しめないのか? というと、そんなことはありません。
知らなくても、怒涛のはちゃめちゃ展開自体が面白いので、ノープロブレムです。
安心してご覧ください。
文豪もびっくり? 『走れメロス』を彷彿とさせるシュールな導入
この記事の「あらすじ」のところに書いたくだり、まんま『走れメロス』(作:太宰治)です。
杏子は激怒した。
必ず、かの邪智暴虐の魔法使いリリを除かなければならぬと決意した。
杏子には恋愛がわからぬ。杏子は、限界ゲームオタクである。
チョコを食べ、猫と遊んで暮らしてきた。
けれども恋愛の押し付けに対しては、人一倍に敏感であった。
あまりにもそのまんまなので、もしかするとマジで『走れメロス』のパロディなのかもしれません。
伝説の再来!? ジバニャン参戦で加速するはちゃめちゃ展開
今から10年ちょっと前に、子供達を夢中にさせたゲーム『妖怪ウォッチ』。
そのメインキャラクターであるジバニャンも、杏子をめぐる恋愛模様に参戦!?
杏子は小学生のとき、ゲーム『妖怪ウォッチ』に夢中でした。
登場するキャラクターの中で、ジバニャンが大好きだったのです。
そんなジバニャンまで、このカオスに参戦する!?
『妖怪ウォッチ』というゲームを遊んだことがなくても、アニメ化されたり、『ようかい体操第一』という歌がヒットしたりしたので、「ジバニャン」というキャラクターを知っている人は多いと思います。
かつて『妖怪ウォッチ』を大好きだった人、ジバニャンが大好きだった人に、映画『ロマンティック・キラー』、めちゃくちゃおすすめしたいです。
→ジバニャンが登場する予告編はこちら
映画のあとはこちらもチェック|原作漫画&アニメ版『ロマンティック・キラー』
映画『ロマンティック・キラー』は、漫画を原作とした実写作品です。
原作漫画は2022年にNetflixでアニメ化されています。
「もっとこの世界観に浸りたい」という方に向けて、それぞれを紹介します。
【原作漫画】百世渡『ロマンティック・キラー』(集英社「ジャンプコミックス」全4巻)
すべての原点である、原作漫画。
「第1回LINEマンガ大賞」を受賞、集英社のマンガアプリ「少年ジャンプ+(プラス)」で連載され、「第2回ジャンプ縦スクロール漫画賞」大賞受賞作になります。
杏子の豊かな表情、つまり顔芸や、既存の恋愛漫画の枠にとらわれないテンポの良いストーリー展開が、多くの読者の支持を集めた作品で、全4巻という手に取りやすいボリュームです。
→冒頭試し読みはこちら
【アニメ】Netflix独占配信『ロマンティック・キラー』
2022年にNetflixで独占配信がスタートしたアニメ版。
国内外で高い評価を受けている、人気作品です。
ヒロイン・星野杏子役を 高橋李依さん、魔法使い・リリ役を小松未可子さんが担当。
キャラクター同士の掛け合いやマシンガントークが、アニメならではのスピード感で再現されています。
また、原作の持つシュールなギャグと、ふとした瞬間に訪れるシリアスな展開のギャップが丁寧に描かれており、映画版とはまた違った表現で「ロマキラ」の世界を楽しむことができます。
他にも香月司役に梅原裕一郎さん、速水純太役に梶原岳人さん、小金井聖役に花江夏樹さんと、人気声優が集結しており、見どころたっぷりです。
映画を観る前の予習として、あるいは鑑賞後の楽しみとして、ぜひチェックしてみてください!
→『ロマンティック・キラー』のNetflix独占配信はこちら
『ロマンティック・キラー』まとめ|笑ってスッキリするだけじゃない! 自分にとっての幸せとは?
映画『ロマンティック・キラー』は、何も考えずに笑って楽しめるのに、じんわりと心が温かくなってほろりとする、エネルギーに満ちあふれた作品です。
怒涛のパロディと「そうはならんやろ!」な超展開で笑えるだけでなく、自分の好きなものを守るために戦う杏子の姿や、杏子を好きな男子たちの気持ちに共感して、「好き」という気持ちはとても素晴らしいなと感じます。
あるあるなシチュエーション(パロディ)を蹴散らしていくさまは、恋愛至上主義を茶化しているように見えるかもしれませんが、決してそうではありません。
恋愛の良さを肯定しつつ、「恋愛しなくても大丈夫、あなたらしく生きていこう」と背中を押してくれているのです。
恋しても、恋しなくてもいいんです。
何か(誰か)を「好き」という気持ちを大切に、自分らしく生きていく。
そんなふうに生きていこうという勇気をもらえます。
『ロマンティック・キラー』で描かれる、「台風並みのロマンティックのオンパレード」と、「(何かを)好きという気持ちが持つ原動力の底力」を、ぜひ全身に浴びてみてください。

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