2025年は、フランシスコ教皇の逝去とそれにともなうコンクラーベ(教皇選挙)の実施で、世界中がバチカンに注目した激動の1年となりました。
その歴史的なニュースとリンクするかのように公開されたのが、映画『教皇選挙』です。
舞台はカトリックの総本山・バチカン。
閉ざされた場所で行われる「コンクラーベ(教皇選挙)」という不可侵の儀式を舞台に、人間の野心、罪、そして信仰の真理が、静かながらも圧倒的な熱量で描き出されている作品です。
今回は、この重厚な人間ドラマであり、極上のミステリーでもある『教皇選挙』を、より深く楽しむためのガイドを用意しました。
「観る前の予習」「鑑賞後の深い考察」「旅行で訪れたバチカンの空気感」という3つの視点から、本作の魅力を余すところなくご紹介します。
映画『教皇選挙』3つの見どころ
息を呑む「密室の心理戦」と伏線回収
世界中から集まった枢機卿たちが、外部との連絡を断たれた閉鎖空間で繰り広げる権力争い。
誰が味方で、誰が何を隠しているのか?
何気ない仕草や言葉が最後にとんでもない真実へと繋がる、ミステリーとして圧巻の完成度です。
「完璧な人間」はいない。聖職者たちが抱える「罪」
聖職者という高潔な立場にありながら、彼らもまた一人の人間です。
過去の過ちや、隠された野心が暴かれていく過程は、スリリングであると同時に、人間の本質を鋭く突きつけてきます。
最後に選ばれる「名前」が示す、新時代のメッセージ
コンクラーベの果てに誕生した新教皇が、自ら名乗る「教皇名」。
その名に込められた意味を知ったとき、物語のピースがすべて嵌まり、カトリックの未来に対する希望を感じることになると思います。
映画『教皇選挙』の基本情報|スタッフ・キャスト
『教皇選挙』(2025年3月20日・日本公開)
監督:エドワード・ベルガー
脚本:ピーター・ストローハン
キャスト:レイフ・ファインズ、スタンリー・トゥッチ、ジョン・リスゴー、イザベラ・ロッセリーニ、ほか
受賞歴:第97回アカデミー賞 脚色賞 受賞
→『教皇選挙』の公式サイトはこちら
映画『教皇選挙』のあらすじ
教皇の急逝により、新教皇を選出するための儀式「コンクラーベ」が開催されることになった。
全権を委ねられた首席枢機卿ローレンス(レイフ・ファインズ)は、世界中から集まった100人以上の枢機卿をまとめ、コンクラーベを取り仕切ることになる。
外部との接触を一切断たれた空間に隔離される枢機卿たち。
保守派、リベラル派、原点回帰派など、枢機卿たちの様々な思惑が絡み合う中、ローレンスは候補者たちの野心や、教皇にはふさわしくないスキャンダルを知っていくことになるが……
【観る前の方へおすすめ】『教皇選挙』を見る前に知っておきたい4つのポイント
映画『教皇選挙』は、カトリックのルールを少しだけ知っておくと、より楽しめます。
- 「コンクラーベ」の意外な語源と仕組み
- 神父と牧師、シスターの立ち位置の違い
- 新教皇が自分で選ぶ「名前」の重要性
これらのポイントを、ネタバレなしで分かりやすく解説した記事を用意しました。
鑑賞前にぜひチェックしてみてください。
→【映画『教皇選挙』を見る前に知っておきたい!4つのポイント】記事はこちら

【観た後の方へおすすめ】『教皇選挙』結末の秘密と教皇名の意味を読み解く
「あの時、何が起きていたの?」
「あれはどういう意味だったの?」
鑑賞後のそんな疑問を解消するために、物語の核心に迫る考察をまとめました。
- 新教皇が抱えていた「最大の秘密」とは?
- 主な候補者たちの一覧表と、時系列のまとめ
- 明らかになった罪と、失脚の裏にあった前教皇の計略
- ラストシーンの「光と風」が象徴するもの
※この記事はラストシーンまでのネタバレを含みますので、必ず鑑賞後にお読みください。
→【映画『教皇選挙』ネタバレ全開感想と考察】記事はこちら

【映画『教皇選挙』の舞台を知る】バチカン訪問記|3度の旅で見た聖地の素顔
映画の舞台であるバチカン市国は、イタリア・ローマの中にありながら、れっきとした独立国家です。
私は2002年、2008年、2016年と、3度にわたりバチカンを訪れました。
- 2002年の、リラとユーロが混在していた時期のこと
- ヨハネ・パウロ2世、ベネディクト16世、フランシスコ教皇と、訪れるたびに代わっていた教皇たちのこと
- サン・ピエトロ大聖堂での、心に残るできごと
映画『教皇選挙』を観たからこそ、あらためて実感できたバチカンの魅力を、現地で撮影した写真とともに綴っています。
現地の空気感などを知りたい方は、ぜひお読みください。
→【映画『教皇選挙』の舞台、バチカンの思い出】記事はこちら

まとめ|映画『教皇選挙』は、新時代の扉を開く物語
映画『教皇選挙』は、単なる宗教儀式を再現しただけの作品ではありません。
コンクラーベという、新教皇を選ぶ儀式を通して、私たちが抱える「恐れ」や「分断」にどのように向き合い、どのように新しい一歩を踏み出すべきかを問いかける物語です。
劇中、ローレンス枢機卿は「確信(答え)」を持つことの危うさと、「疑念(問い)」を持ち続けることの尊さを語ります。
新教皇が最後に選んだ「名前」の意味に立ち返るとき、そのメッセージはより強く私たちの心に響くでしょう。
フィクションと現実が交差した2025年。
この物語が示す「希望」の形を、ぜひ見届けてください。
映画『教皇選挙』配信情報
映画『教皇選挙』は、現在Amazonプライム・ビデオにて独占配信中です。

教皇選挙(字幕/吹替)

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