『ボヘミアン・ラプソディ』のラミ・マレック主演作、『アマチュア』。
予告編を見ると王道のスパイ映画に見えますが、実際に観てみると良い意味で予想を裏切られる、ハラハラしっぱなしの「応援型」サスペンスです。
主人公は頭脳明晰なCIA分析官ですが、現場経験はゼロ。
そんな彼が妻の復讐のために、危険な世界へ飛び込みます。
この「殺しは、アマチュア」な主人公を、なぜ観客は応援してしまうのか?
本記事では、その理由と作品の魅力を、ネタバレなしで紹介しています。
※この記事は、この作品をこれから見る方へ向けた紹介&感想です。
公式サイトや予告などからわかる程度の情報はありますが、映画の結末や重大な展開には触れていません。
どんな作品なのかを知りたい方は、この先の本文をぜひお読みください。
この記事でわかる!映画『アマチュア』のポイント
- どんな映画?:天才だが戦闘力ゼロの分析官が、妻の復讐に挑む物語。
- 見どころ:ラミ・マレックの怪演と、「危なっかしくて見ていられない」緊迫感。
- おすすめ:ド派手なアクションより、頭脳戦や人間ドラマを楽しみたい方へ。
映画『アマチュア』の配信状況(Amazonプライムでレンタル配信中)
現在、『アマチュア』はAmazonプライムビデオにてレンタル配信が開始されています。
※見放題対象外です。
ご視聴の際は、レンタル料金が発生しますのでご注意ください。

アマチュア (2025)
映画『アマチュア』の基本情報|監督・制作・キャスト
『アマチュア』(2025年/アメリカ)
監督:ジェームズ・ホーズ
制作:ラミ・マレック
主演:ラミ・マレック
キャスト:ローレンス・フィッシュバーン、レイチェル・ブロズナハン、他
『アマチュア』のあらすじ|妻の復讐を誓ったCIA分析官の孤独な戦い
“殺し”は、アマチュア。
“ミッション”は、妻の復讐━━
CIA分析官として働くチャーリー・ヘラーは、ある日イギリスへ出張していた妻のサラが、国際テロ組織の人質事件に巻き込まれて殺されたことを知る。
持ち前の分析能力を活かし、妻を殺した4人組のテロリストの身元を突き止め、ヘラーは上司に報告する。
しかし、上司はテロ組織メンバーの逮捕へ動き出そうとしない。
匿名の協力者であるインクワラインから得た情報により、CIAが機密作戦において虚偽の報告をしていたことを知ったヘラーは、上司のことが信用できなくなっていく。
妻を殺した犯人たちへの復讐は、自分でするしかない。
そう決意したヘラーは、人を殴ることも銃の扱いもままならない自分が、“殺し”に向いていないことを自覚しながらも、復讐のために動き出すのだが……
映画『アマチュア』のちょこっと感想|頭脳は天才、腕力はゼロ!? ヘラーの危うさが生む緊迫感
“殺し”はアマチュア、というか、“殺し”以前の問題で、頭は超絶いいけどアクションとかまったくできなさそうなヘラーに、そもそもテロ組織を追い詰めるなんてできるのか!?
という感じで始まった本作。
作中でまったく同じことを思ったらしい上司にヘラーは嘲笑されるのですが、そんな彼の姿を見て、次のように思いました。
確かに、この人はちょっと身体能力的には、へなちょこっぽい。
でも分析能力は世界最高レベルなんだろうし、デジタルを駆使して復讐に挑むというのは、情報戦が主戦場な現在の世界情勢にも合っている。
正直無理っぽいけど、頑張ればできるんじゃない!?
そう思った瞬間から、ちょっと頼りない感じがするヘラーの一挙手一投足をハラハラドキドキしながら見守るという、ある意味で応援上映のような鑑賞体験が始まったのです。
まるで応援上映?「なんとかなれ!」と祈りたくなるハラハラドキドキの没入感
見ていて、
「え、ちょ、えっ、ちょっとちょっと、そんなことしてる場合か!?
えっ、ぶっつけ本番なの!?
まあ確かにそんな経験ないだろうしね!?
でも、えっ、ちょちょちょちょ、早く早く早く逃げろ!
えっ、ちょ、わ、わあ、わああ、ちょいちょいちょいちょい!
待て待て! おーーい! いや早く逃げろって!」
という感じでずっとハラハラ見守り、大丈夫か大丈夫か、とドキドキし続けるという、なんか面白い体験ができました。
普通のスパイ映画だと、超絶危険な状況での、いやこれ人間やめてるだろ的なアクションにハラハラドキドキするのですが、それは“アクションの超絶技巧”にハラハラしているのであって、こんなんでこの人大丈夫か!? みたいな心配ってあんまりしない気がします。
主人公なら、大ピンチに陥ったり、一度敵の手に落ちたとしても、大抵のことは切り抜けられるだろう、と思いますし。
でも、ヘラーは、えー大丈夫なの!? 本当に大丈夫なの!? とずっと心配し続けてしまうという、珍しい主人公でした。
ラミ・マレックの名演が光る!「守ってあげたい」主人公の魅力
上司に「(復讐なんて)できるわけがない、(へなちょこな)お前に何ができるんだ」というように嘲笑されたシーンを見て、こちらはムッとするわけです。
この人にそんなことできるわけないって思うのはわかるけどさ、気持ちは本物じゃん!
一生懸命な人を嘲笑うのってよくない、絶対!
とか思ってしまうため、ずっとヘラーを応援し続けることになります。
あーーーなんでそんな! あーーーなんでーーー!? いやそんなわけないじゃん! 詰めが甘い!
でも仕方ないよなあ、だってこの人、頭が超絶いいだけの、普通の人だもん!
頑張れ! なんとかなれ!
なんか頭の中で、ヘラーがいつのまにか“ちいかわ”に変換され、見ている私が“ハチワレ”になって、「なんとかなれーーっ!」と叫んでる感じ。
デジタル機器を駆使する戦い方というか、テロ組織を追い詰める手腕は本当にすごいんですよ。
でも、アクション的にはへなちょこなので、見ていてすっごくハラハラするのです。
途中で出てくる協力者が、本当に親切にヘラーのために頑張ってくれるんですが、そりゃこの人(ヘラー)ほっとけないよなあ、と観ているこちらもその行動に納得します。
主人公をずっと心配し続けるという、面白い経験ができて、楽しかったです。
映画を鑑賞するって、やっぱり“体験”だよなあ、なんてことを、あらためて思ったりしました。
「予測不能なスパイ・アクション開幕」というキャッチコピーから予想するような内容ではない、気がします。
予想したのと違う、という意味で、期待はずれだったと感じる人もいるかもしれません。
個人的には、ずっとハラハラし続けるという体験ができたのと、物語として面白かったと思うので、満足しています。
映画『アマチュア』は典型的な「スパイ・アクション」ではない?
スパイ・アクションというと、超絶技能を持つスパイが命懸けのアクションを繰り広げる、というイメージかと思います。
そういう王道のスパイものもいいですが、私はちょっと捻った感じのスパイ映画が好きです。
『コードネームU.N.C.L.E(2015年)』や『アーガイル(2024年)』とか。
これ、偶然にも、どちらもヘンリー・カヴィルが出演していますね。
『アマチュア』は、アクションではなく、「頭脳」と「執念」で敵を追い詰めていく物語です。
だから、普通にイメージするスパイ映画とは違います。
そもそもヘラーはスパイと呼べるのか?
CIAのエージェントではあっても、彼はあくまで「アマチュア」。
「予測不能なスパイ・アクション開幕」というキャッチコピーから、ド派手な銃撃戦や格闘を期待して観に行くと、少し「期待はずれ」と感じるかもしれません。
しかし、「予想と違った」ことは決してマイナスではなく、「ずっとハラハラし続ける」という新しいサスペンスの形として、非常に面白かったです。
まとめ|映画『アマチュア』は絶望から立ち上がる再生の物語
映画『アマチュア』は、妻の復讐を目的としている物語です。
それはつまり、大切な人を理不尽に失ったとき、人はどうするのか、という重いテーマを扱っているということです。
ヘラーに感情移入するほど、その悲しさや切なさ、やりきれない思いが胸に迫ります。
復讐することに、意味はあるのか? という根源的な問いを感じる人も多いでしょう。
だけど、ヘラーにとって、妻の復讐をすることは、妻の死を受け入れ、自分の気持ちに折り合いをつけるために、必要なものでした。
彼が前に進むためには、妻の復讐を成し遂げなければならなかったのです。
打ちのめされた人が、行動を起こし、困難や辛さを乗り越え、前を向けるようになる。
人生という道を、再び歩き始める。
映画『アマチュア』は、スパイ・サスペンスという枠組みを借りた、1人の男の魂の再生を描いたヒューマンドラマでもあります。
ハラハラドキドキした後に訪れる、深い余韻をぜひ味わってみてください。
映画『アマチュア』の配信/DVD&Blu-ray情報
【amazonプライム・ビデオ】で、レンタル配信(500円)が始まっています。

アマチュア (2025)
2025年8月にDVD&Blu-rayが発売されました!
※記事内で紹介した『コードネームU.N.C.L.E(2015年)』はソフトありますけど、『アーガイル(2024年)』は発売されてないようです。
『コードネームU.N.C.L.E(2015年)』は【amazonプライム・ビデオ】でレンタル配信しています。

コードネームU.N.C.L.E.(字幕版)

コードネームU.N.C.L.E.(吹替版)

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